世界中に羊はたくさんいます。
その種類も様々。
緯度の高い地域の羊は寒さに強くしっかりした毛質だったり、モンゴルなどの遊牧民とともに生きる羊はごわっとした弾力のある毛質だったりします。
世の中にたくさん出回っているウール糸。
そのタグやラベルを見てみて下さい。
素材表示のところに、ただ単に「ウール100%」とだけ書かれているものが多く見受けられます。
それは確かに100%ウール素材ではあるけれど、複数の種類の羊毛をブレンドしている可能性が高いのです。
ラグに適した素材のチェビオットやリンカーン。これをメリノにブレンドする。そうすると弾力性のある、ごわっとした糸が出来上がります。まるでガンジーセーターを編むような、がっしりとした糸が。
羊毛をブレンドすることは全く悪い事ではありません。
手紡ぎの世界では自分の欲しい糸を作るために行う、当たり前のこと。
むしろ、その羊毛に足りない部分を別の羊毛で補えるという、とても素晴らしい行為なのです。
たとえば日本でも愛好家の多いシェットランドウール。
この羊毛から作られた糸はレースの表情をしっかりと見せてくれる素敵な糸です。
けれど少し柔らかさに欠ける。
そこでポロワスを少しブレンドすると、柔らかさも備えた素晴らしいレースヤーンが出来上がります。
けれど、わたしたちがやりたいのは、いろんな種類の編み物。
常にシェットランドレースばかりを編むわけではなく、帽子も編みたいし手袋も編みたい、セーターだって編みたいのです。
そう、身につけるものを編むのだからチクチクして欲しくないし、柔らかい方がいい。
確かにガンジーセーターのような模様がはっきりしたものを編みたいのであればがっしりとした糸の方が適している場合もありますが、それでもやっぱりやわらかさは必須なのです。
中でももっとも編み物に適しているといわれているのがメリノ種の羊。
すべての羊の中でいちばん柔らかな毛質を持ち、世界中の編み物愛好家から愛されています。
Fingering、Aranはオーストラリア産のメリノ、DKはニュージーランド産のポロワスです。
混じりっけなし、いっさい他種の羊をブレンドしていません。
なのでメリノはメリノの、ポロワスはポロワスのそれぞれの特徴がそのまま糸に現れています。
メリノの特徴は、そのやわらかさ。
全種の羊のなかでも最高のやわらかさを誇ります。
そのやわらかさは手紡ぎ用の羊毛を触ればすぐにわかります。
ふわふわで真っ白で、とてもきれい。
そのやわらかさゆえ、手紡ぎするのはとても困難なくらい。
メリノはオーストラリアやニュージーランドで多く飼育され、羊といえばメリノというくらいメジャーな羊です。
ちなみに日本にはいません。
めりやすのメリノはすべて、オーストラリアの大地でたいせつに育てられました。
次にポロワス。
これはメリノに次ぐやわらかさを持つ羊。
最高の柔らかさを誇るメリノには負けますが、とてもふわふわで、他種の羊と比べれば違いは歴然、群を抜いて柔らかいです。
手紡ぎでいえば、メリノに比べ油分が少ないため、洗いという作業が楽です。
そのためフェルト化の心配が少なく、紡ぎやすい羊毛です。
ポロワスもオーストラリアやニュージーランドで多く飼育されています。
メリノほどメジャーでないのはメリノの存在が大きすぎるためでしょうか。
こちらも日本にはいません。
めりやすのポロワスはニュージーランドでのびのび育ちました。
メリノもポロワスも、めりやすで扱っている素材は、大事に育てた羊たちの毛を丁寧に出荷していることが糸から伝わってきます。
服や食べ物など、自分が身につけるものや口にするものの素材がどこからやって来たのかを知ることはとてもたいせつなことです。
編み物だって同じ。
使う素材がどういったものなのかを知ること、知ろうとすることは何より大事なことなのです。
何が駄目で何が良いということが言いたいわけではありません。
メリノだけが編み糸だというわけではないのです。
大事なのは自分で選ぶこと。
知るべきことを知り、選ぶべきものを選ぶ。
これが一番大事なことなのです。
めりやすでは皆さんが糸を選ぶときの参考になるよう素材についてすべて明確にしています。
何か不明な点がございましたら遠慮なくお問い合わせ下さい。